vol.5 束の間の豊漁

ダイサギ
ダイサギ

環境の変化は野鳥をはじめとする野生生物に大きな影響を与えています。鳥たちに束の間の豊漁をもたらしても、長い目で見れば生息・生育環境が失われている場合も。人間による開発や汚染が要因となることも少なくありません。


ダイサギ
写真A:魚をとらえたダイサギ

昨年の9月に東京湾のとある漁港へ海鳥の写真を撮りに行った際、海面全体がやや緑がかって見えたことがあります。「これは青潮が発生したな」と思い、コンクリ護岸をぶらぶらしていると、あちらこちらに佇むサギやウミネコの姿が。


何か動きがあるだろうとカメラを構えて待っていたら、果たして一羽のダイサギが水中に飛び込み、戻ってきたその嘴には写真Aのようにスズキらしき魚が刺さっていました。

 

私は鳥が獲物をとらえる姿が好きで、水鳥に限らず多くのハンターを撮影してきました。その時は水面のあちらこちらに魚が浮いていて、サギやウミネコ(写真B)たちにとってまさに入れ食い状態。滅多に出会えない光景です。


青潮は、海底近くにある酸素の少ない水がわき上がってくることで発生するそうで、魚や貝などの大量死を引き起こします。海水の富栄養化で発生した赤潮が引き金となることが多く、人間による海の汚染が要因。後で調べたところ、昨夏は東京湾で青潮が発生してアサリなどに大きな被害を与えたとか。

 

ウミネコ
写真B:浮いてきた魚を食べるウミネコ

鳥たちにとっては一時の豊漁かもしれませんが、青潮で貝や底生生物が減れば湾全体の生産性が落ち、魚の数が減る可能性もあるでしょう。もちろんかれらはそんな理屈を知る由もなく、「食える時に食う」という野生のセオリーを貫くだけ。


自然を改変させてきたのが人間なら、その理を解き明かすことができるのも人間。有史以来積み重ねた英知を、鳥や魚などあらゆる生物が生きやすい都市環境の実現に生かすのが、21世紀に生きる私たちの務めです。

 

Written by ゴサギ


 

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ゴサギ:関東(主に千葉と東京)を中心に、市街地や公園で身近な鳥の写真を撮影している「トリ撮りすと」。