vol.8 キジとキジバト

キジ
キジ

生物多様性の保全が官だけでなく企業にとっても重要な課題として認識されるようになったおかげか、都市部に準自然空間とも呼ぶべき人工林や自然公園が増えています。それに伴って、以前は里山などで見られた野鳥をはじめとする生き物が、私たちの身近なところに姿を現すようになりました。


夏も終わりに近づいた9月の昼時。宅地開発が着々と進む千葉県内で数年前に開業したとある駅の近くを散歩していたら、自然歩道沿いの茂みに見え隠れする鮮やかな赤と緑。そっと近寄って見ると、果たして一羽のキジが頭を前後に揺らしながら闊歩していました。


キジ
写真A:住宅街近くの公園にいたキジ

キジは、キジ目キジ科に属する留鳥で、漢字では「雉」と書きます。草原や里山に住み、主食は草木の実や昆虫など。顔の赤い肉垂と、首から腹部に至る緑色の羽がひときわ目を引く美しい鳥です。希少な鳥と思われがちですが、実は田畑のほか、市街地でも時折見かけることがあります。写真Aはその日に出会ったオスです。


キジ
写真B:立ち去るキジ

どうやら人馴れしているらしく、私が少しだけ近付いても距離を保ったまま逃げようとしません。それが良いか悪いかは別として、一通り食べ物を物色すると、開発に合わせて造成された人工林の中へと消えていきました(写真B)。

 

キジバト
写真C:翼を重ねて地面に伏すキジバト

私も立ち去ろうとふと道の反対側へ目をやると、キジバトのつがいが街路樹の根元で一休みしていました。一羽は翼を写真Cのように重ねて地面の上に伏しています。「雉鳩」という名の由来は、魚鱗に似た羽の模様がメスのキジに似ているためといわれています。

こちらは街中の喧騒など物ともせず、ジョギングをする人や自転車が通り過ぎても微動だにせずくつろいでいました。


かつて、開発で生息地を追われた生き物たちは、わずかに自然が残る地域へと逃れるしかありませんでした。しかし、最近は街中で水や緑に親しむことができる空間を創出する動きが広がり、少しずつではありますが、生き物が都市に戻ってきているのかもしれません。


「自然との共生」を美辞麗句で終わらせないためにも、行政やデベロッパーには、都市に点在する自然空間をつなぎ、生態系を復元していく取り組みに力を入れてもらいたいものです。

Written by ゴサギ


 

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街のサギですが、何か?

ゴサギ:関東(主に千葉と東京)を中心に、市街地や公園で身近な鳥の写真を撮影している「トリ撮りすと」。