国会は選挙前の「消化試合」ではない

前倒しされた通常国会が、松も取れていない新年の1月4日に召集された。会期は6月1日までの150日間。安倍内閣が掲げる新三本の矢を実行に移すための法案が、議論の中心になるというのが大方の観測である。

第一に、「GDP600兆円」を標榜する強い経済の実現に欠かせないとされる、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)関連法案を、2016年度予算の成立後に一括審議する。著作権保護期間の延長や著作権侵害の非親告罪化を盛り込んだ産業財産権関連法の改正案や、農業向けの補助金拡充を柱とする農業関連法案が焦点となる。

 

第二及び第三に、子育て支援や介護離職ゼロを目指す児童福祉法・育児介護休業法の改正案や、マタハラ防止法案などが提出される見通しである。ほかにも、女性の再婚禁止期間を短縮して100日にする民法改正案や、消費税軽減税率導入を含めた税制改正関連法案がある。

 

それでも一部報道によると、今国会に提出される法案は60本ほどで例年よりは少なくなる見通しである。間違いなく夏の参院選をにらんだ審議日程であり、政府与党としてはやや消化試合気味に臨むのかもしれない。となれば、継続審議続きの刑事訴訟法改正案や、契約ルールを120年ぶりに見直す民法の大改正案などはさらに塩漬けにされ、成立は難しいであろう。

 

前国会で政府は、立憲主義に反して憲法違反であると各所で指摘された安保関連法案を提出し、与党が強引に採決して批判を浴びた。今国会でも、国の財政を潤すための法案を重視するのは間違いではないが、社会のあり方そのものにかかわる重要法案を放置するのはいかがなものか。

 

国内外の情勢が混迷を極め、民衆が希望ある未来を思い描くことが難しい時代に、為政者が果たすべき役割とは何か。政(まつりごと)の世界に身を置く人たちに、胸に手を置いて再考していただきたい。

(槐)

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