vol.15 都市鳥たちの住宅事情

スズメ
スズメ

 

 野生生物が都市で命をつないでいくのは大変なこと。都市の鳥たちは、自然だけでなく人工物を巧みに利用して子育てをしています。人間空間の「すき間」で生き抜くその姿はまさにサバイバー。

 

声はすれども姿は・・・見えた!

スズメ
写真A:ビルの照明器具で夜を過ごすスズメ
スズメの巣
写真B:照明カバーの内側には鳥が持ちこんだ枯草が

冬の寒さも一段落した2月の夜。都内の大型商業施設で買い物をしようとエントランスに入ると、どこからか「ヒヨヒヨヒヨ」と鳥の鳴き声が。明らかにスズメの声ですが7時を過ぎようかという時間ですので、スピーカーで流しているのかと探しましたが、音源らしきものは見当たらず。

 

「もしかして」と、天井に配置されたスポット照明の内側を覗いたら、スズメの姿が見え隠れしていました(写真A)。もう一つの照明には、スズメが巣材として持ちこんだらしい枯草が詰め込まれています(写真B)。高所でガラス越し、しかもサブカメラと条件は良くありませんでしたが、なんとか雰囲気が分かる写真を撮ることに成功しました。

 

照明の熱と光は相当なものでしょうが、カラスなどの外敵に襲われる心配とはまず無縁。あとはビルメンテの予算不足を祈るばかりです。

自然物か人工物かは二の次

シジュウカラ
写真C:車止めの金属柱を物色するシジュウカラ

 

スズメと大きさは同じ位ですが、シジュウカラは、木に開いた穴や他の鳥の古巣などに、コケや植物の繊維などを使って巣を作ります。人がかけた巣箱にも容易に入る野鳥として知られていますが、格好の巣穴を探すのはなかなか大変なようです。

 

写真Cのシジュウカラは、2月下旬に街中で撮影した一枚。時期的にはペアをつくって子育てする場所を探す頃です。塗装が剥げ、錆の浮いた金属製の車止ポールに開けられた鎖かけの穴を覗きこみ、卵を産む土台をかけられるかどうかを物色しているようです。

 

以前、外壁の塗装屋さんに聞いたことがありますが、エアコンのホース用に開けた古い穴や、屋根にできた隙間などには、結構高い確率で鳥が巣をかけた跡がみられるとか。かれらにとって自然物か人工物かはおかまいなし。産卵からひなが巣立つまでの数十日間、無事に過ごせる空間を確保することが何より大事なのですから。

 

都市の「すき間」で行き抜け

真夏に駅舎の軒先で子育てをするツバメ。公園や遊水地の水上に巣を作るカイツブリ。都市には鳥が繁殖できる場所が数多くあります。ただし、それらのほとんどは人間が形成した生活空間の一部。鳥に限らず、都市の「すき間」で生き抜く野生生物のサバイバルは今日も続いています。

 

ツバメ
写真D:ツバメの巣は夏の風物詩
カイツブリ
写真E:水上に巣を作るカイツブリ

Written by ゴサギ


 

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街のサギですが、何か?

ゴサギ:関東(主に千葉と東京)を中心に、市街地や公園で身近な鳥の写真を撮影している「トリ撮りすと」。