シリーズ・水銀規制の動向(1) 「蛍光ランプはどの程度規制される?」

24日 9月 2015年

◆国内法制定に至る背景


2013年10月に、水銀による環境汚染と健康被害を防止するための「水銀に関する水俣条約」(通称「水俣条約」)が、熊本市及び水俣市で開催された国連環境計画(UNEP)の外交会議で採択されました。水俣条約は、50か国が締結してから90日後に発効する予定であり、2016年頃には発効すると見込まれています。


水俣条約の発効を控えて、日本では「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」(水銀汚染防止法)が制定され、2015年6月19日に公布されました。水銀鉱の掘採と、特定の水銀使用製品の製造を原則禁止するほか、水銀の貯蔵や、水銀含有再生資源の管理などに関する措置などを定めています。掘採禁止の違反者には5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されます。一部を除いて水俣条約の発効日から施行されます。


同時に大気汚染防止法が改正され、「水銀排出施設」の設置などを行う者に都道府県知事への届出が義務づけられたほか、届出対象施設から水銀を大気中に排出する者に基準の遵守が義務づけられました。要排出抑制施設の設置者には、自主的取組の実施が求められます。この改正法は水俣条約の発効日から2年以内に施行されます。


水銀に関する国際的な取組(環境省)


水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(環境省)

◆蛍光ランプへの規制が焦点のひとつに


水銀汚染防止法の制定を受けて、環境省は2015年9月8日に同法の施行令及び施行規則などの案を公表し、意見募集(パブリックコメント)を開始しました。期間は10月7日までです。

このパブコメのもととなったのが、8月5日付けで環境大臣へなされた中央環境審議会の「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について(第二次答申)」です。


ところが第二次答申公表の前後から、国内で流通する蛍光ランプへの規制がどの程度のものになるのかが、関係者の間で話題となっています。というのも、水俣条約は一般照明用の蛍光ランプのうち水銀を一定量以上含む物について、2021年に製造・輸出・輸入を禁止するためです。

しかも環境省の政省令案は、ほとんどの品目について2018年までに禁止すると規制を前倒する内容になっており、何が、いつまでに、どの程度、どのような規制を受けるかが見えにくくなっているのです。


「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に関する技術的事項について(合同会合第二次報告書(案))」に関する意見募集(パブリックコメント)の結果及び環境大臣への答申について(環境省)


「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令案等」に関する意見募集(パブリックコメント)について(環境省)

◆現在市販されているほとんどの蛍光ランプは規制の対象外


そこで編集部が、照明機器メーカーなどでつくる業界団体である一般社団法人日本照明工業会(JMLA)に確認したところ、現在市販されている蛍光ランプや、高圧水銀ランプ・メタルハライドランプ・高圧ナトリウムランプ(総称「HIDランプ」)などの水銀使用ランプについては、製造、輸出又は輸入禁止の規制を受けないということがわかりました。


理由は、すでに水銀含有量の基準をクリアしており、規制対象の製品が存在しないためです。ただし、一般照明用の「高圧水銀ランプ」については、水銀の含有量に関わらず、2021年以降、製造・輸出・輸入が禁止されます。


詳しくはJMLAのホームページにあるリーフレット「水銀に関する水俣条約」の国内担保状況について~正しく理解していただくために~」(PDFファイル)をご覧ください。


一般社団法人日本照明工業会(JMLA)


◆おわりに


新しい規制が課せられるときには、対象となる製品が広く使われていればいるほど、規制の対象や強さなどについての議論が巻き起こるものです。幸い蛍光ランプについては、わが国は早々に対策を取っていたために規制対象になるものはほとんどありません。では、ほかの品目についてはどうでしょうか。次回は電池に対する規制の実態をお伝えします。