シリーズ・水銀規制の動向(3) 「水銀汚染防止法施行令を読む」

16日11 2015年

◆水銀汚染防止法施行令が公布!


11月11日に、水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)の一部の施行日が定められるとともに、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」が公布されました。

また、廃水銀等を特別管理廃棄物に指定することを柱とした廃棄物処理法施行令の改正と、水銀排出施設を定めた大気汚染防止法施行令の改正なども行われました。

そこで予定を変更して、同日に公布された政令の中身を2回にわたり検証します。

 

◆段階施行日が確定、施行に必要な事項も整備


水銀汚染防止法は、一部を除いて水銀に関する水俣条約が日本で効力を生ずる日から施行されることになっています。今回公布された「水銀による環境の汚染の防止に関する法律の一部の施行期日を定める政令」(政令第377号)は、発効日以外の施行日を以下のように定めました。

①関係主体における水銀使用製品の適正な分別回収に関する責務:2016年12月18日

特定水銀使用製品の製造禁止等:2018年1月1日


一方、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」(政令第378号)は、水銀汚染防止法の施行に必要とされる以下の事項を定めています。

①製造が規制される「特定水銀使用製品

②水銀等の使用が規制される製造工程

貯蔵が規制される水銀等


◆特定水銀使用製品の種類は


水銀汚染防止法施行令の具体的な規制内容を見てみましょう。本則自体は前記の①~③を定めた3条しかありません。

第1条は、許可を得た場合を除いて製造が禁止され、部品としての使用も制限される「特定水銀使用製品」として、の製品を定めています。

 

表 特定水銀使用製品の種類


特定水銀使用製品
1

電池

酸化銀電池(水銀の含有量が全重量の1%以上で、ボタン電池であるもの)

空気亜鉛電池(水銀の含有量が全重量の2%以上で、ボタン電池であるもの)

2

スイッチ及びリレー

3

一般照明用のコンパクト形蛍光ランプ及び電球形蛍光ランプ(発光管1本当たりの水銀の含有量が5mgを超えるもので、定格消費電力が30W以下のものに限る。)

4

一般照明用の直管形蛍光ランプのうち、次に掲げるもの

①1個当たりの水銀の含有量が5mgを超えるもので、定格消費電力が60W未満のもののうち、三波長形の蛍光体を用いたもの

②1個当たりの水銀の含有量が10mgを超えるもので、定格消費電力が40W以下のもののうち、ハロリン酸塩を主成分とする蛍光体を用いたもの

5 一般照明用の高圧水銀ランプ
6

電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプのうち、次に掲げるもの

①1個当たりの水銀の含有量が3.5mgを超えるもので、長さが500mm以下のもの

②1個当たりの水銀の含有量が5mgを超えるもので、長さが500mm~1500mmのもの

③1個当たりの水銀の含有量が13mgを超えるもので、長さが1500mmを超えるもの

7 化粧品
8

動植物又はウイルスの防除に用いられる薬剤(一部保存剤等を除く)

9 気圧計(電気式のものを除く。)
10 湿度計(電気式のもの及び12の①に掲げるガラス製温度計を部品として用いて製造されるものを除く。)
11

圧力計(電気式のもの、230度以上の温度で計ることができるダイアフラム式圧力計であって目量5メガパスカル以下のもの及び温度の大きな変化、著しい振動その他の厳しい条件の下で計ることができる真空計であって次に掲げるものを除く。)

①計ることのできる最大圧力(絶対圧力)が1300パスカル以下で、目量300パスカル以下のマクラウド真空計

②計ることのできる最大圧力が6万6000パスカル以下で、目量200パスカル以下のU字管真空計

12

温度計(電気式のもの及びガラス製温度計で次に掲げるもの(体温計であるものを除く。)を除く。)

①計ることのできる最高温度が300度以下のもので、目量0.5度以下のもの(③に該当するものを除く。)

②計ることのできる最高温度が300度~500度のもので、目量2度以下のもの(③に該当するものを除く。)

③塩酸、硫酸その他の腐食性の高い薬品の温度を計ることができるもので、計ることのできる最高温度が200度~500度のもののうち、目量が2度以下のもの

13 血圧計(電気式のものを除く。)

環境省、経済産業省資料より作成

 

◆水銀の使用が禁止される製造工程と貯蔵規制が適用される場合は


水銀汚染防止法は特定の製造工程における水銀等の使用を禁止しています。政令は第2条により、その製造工程を以下の5物品に係るものと定めました。

①水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム

②アセトアルデヒド

③クロロエチレン(別名塩化ビニル)

④ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムエトキシド

⑤ポリウレタン


また、貯蔵に関する規制が適用される水銀等として、第3条で次の6種類を定めています。

水銀(水銀以外の物と混合している場合(水銀以外の金属との合金に含まれる場合を含む。)は、水銀の含有量が全重量の95%以上である混合物に含まれるものに限る。)

塩化第一水銀(塩化第一水銀以外の物と混合している場合は、塩化第一水銀の含有量が全重量の95%以上である混合物に含まれるものに限る。)

酸化第二水銀(酸化第二水銀以外の物と混合している場合は、酸化第二水銀の含有量が全重量の95%以上である混合物に含まれるものに限る。)

硫酸第二水銀(硫化第二水銀以外の物と混合している場合は、硫酸第二水銀の含有量が全重量の95%以上であるものに含まれるものに限る。)

硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物(硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物以外の物と混合している場合は、硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物の含有量の合計が全重量の95%以上である混合物に含まれるものに限る。)

硫化水銀(辰砂に含まれるものを含み、硫化水銀以外の物と混合している場合(辰砂に含まれる場合を除く。)は、硫化水銀の含有量が全重量の95%以上である混合物に含まれるものに限る。)

 

◆施行日と準備行為


水銀汚染防止法施行令は、以下のように段階的に施行されます。

①特定水銀使用製品(一部)の製造許可等を受けるための申請等の準備行為:2017年7月1日

②電池(ボタン電池であるアルカリマンガン電池を除く。)、一般照明用のコンパクト形蛍光ランプ及び電球形蛍光ランプ、一般照明用の直管形蛍光ランプ、電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプ、化粧品、動植物又はウイルスの防除に用いられる薬剤(一部除く):2018年1月1日

③ボタン電池のうちアルカリマンガン電池、マーキュロクロム液等に関する事前申請:2020年7月1日

④ボタン電池のうちアルカリマンガン電池、スイッチ及びリレー、一般照明用の高圧水銀ランプ、マーキュロクロム液、動植物又はウイルスの防除に用いられる薬剤、気圧計、湿度計、圧力計、温度計、血圧計:2020年12月31日


また、特定水銀使用製品の製造が禁止される2018年1月1日から、2020年12月31日前までの間に製造・輸入された特定水銀使用製品で、使用が条約で認められた用途に適合するものとして事業所管大臣の承認を受けたものを部品として他の製品の製造に用いる場合は、特定水銀使用製品の使用制限に関する法の規定が適用されません。

 

◆おわりに

 

水銀汚染防止法施行令の附則で、以下の政令が改正されています。

①核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令

②放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令

③水質汚濁防止法施行令

④特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令

⑤廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令

⑥公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令

⑦鉱業法第六条の二の鉱物を定める政令

このうち③、④、⑤は環境規制の対象となる施設の変更を行う改正であり、注意が必要です。


次回は、廃棄物処理法改正政令と大気汚染防止法施行令等改正政令の改正点と、今後公布される予定の省令及び告示等の内容を検証します。

 

※その他の品目に対する規制については、別途検証します。


◆参考リンク

「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」等の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント)の結果について(環境省)

水銀に関する取組(環境省)


 

◆「シリーズ・水銀規制の動向」バックナンバー


水銀汚染防止法施行令を読む(2015年11月16日)

ボタン電池の水銀規制と達成状況をみる(2015年10月28日)

蛍光ランプはどの程度規制される?(2015年9月24日)